【年間200件の事例】から学ぶ「孤独死対処方法」

特殊清掃の実態を知って!~年間孤立死6万人の最後をになうプロ中のプロたち!!

特殊清掃員

1.「特殊清掃」について何か知っていますか?

いわゆる通常の清掃、ハウスクリーニングとはどのような点が異なるのでしょうか。
都市伝説的に語られることの多い職業ですが、実際はどのような仕事なのか疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。

また、特殊清掃の主な現場となる、年間6万人を超える孤独死、孤立死の事態について知っていますか?
近年、孤立死や孤独死について、テレビやマスメディアで取り上げることも多くあるため、その名称を聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
ドキュメンタリーや報道番組では、ことさら恐怖をあおる形で伝えられている部分も多くあります。

このページでは、特殊清掃の実態、孤独死や孤立死の実際についてお伝えします。
また、特殊清掃に携わる人々の仕事の実際の業務内容についても説明していきます。

2.特殊清掃とは

まず、特殊清掃という仕事について説明します。
特殊清掃とは、ご遺体のあった場所のご遺体由来の影響の清掃を中心とした、通常の清掃やハウスクリーニングではカバーしきれない分野の作業のことを指します。
また、通常のハウスクリーニングの必要な状況をはるかに超えた、極端に汚い部屋の原状復帰を行う仕事も、特殊清掃の仕事に含まれます。

さて、一般の人にはなかなか実感として知られていないことに、ご遺体のあった場所や、ご遺体の発見された居室のその後の処理、原状復帰の方法があります。
まず、死後3日以上そのままご遺体が居室に放置されると、ご遺体そのものが腐敗を始めてしまうことで、その周囲の建材や調度品に影響が出ます。
日常生活の中でも、住宅の床や壁紙にうっかりつけてしまった血痕や、手垢などのの跡が取れにくいといった経験はないでしょうか?
それと同様に、建材に付着したご遺体由来の血液や体液も、そのままにしておくと簡単には取り除けなくなります。
そして、ご遺体由来の体液や血液が床材や壁紙に飛散したままですと、浸透していって部屋の建材をいためることが起こります。

建材の木材を腐らせ、もろくしたり、腐敗臭を発するなどの事態です。
そのままではその後の使用に差し支える形になりますし、衛生的にもよくありません。

注意

さらに、2階以上の住居では床板から階下の天井裏へと体液や血液が徐々に浸透していて、そのまま階下の部屋に影響がでることもあります。
このような事態では、壁紙をはがしたり床材を取り除いて貼りなおすなどのリフォームを含めた、大規模な洗浄作業が必要になります。
特殊清掃とは、こういったリフォーム作業についても場合により含めた作業になります。

梁まで汚染

また、ご遺体のあった部屋は、時間の経過にもよりますが独特の死臭と言われる強い臭いが充満し、部屋の建材や積もったホコリなどにしみついてしまう場合があり、その消臭についても特殊清掃の作業での対処が行われます。
こういった死臭は人間の危険察知の本能に訴えかける強烈な臭いなので、普通の人にはとても耐えがたく、とてもその場所に長時間いられないような強い臭いになります。
そのため死臭が残ると、その後のその部屋の使用に差し支えるため、消臭は不可欠です。
特殊清掃の作業では、この強い死臭の消臭のために、一般の消臭剤や芳香剤と異なる特殊な消臭剤を使用したり、臭いを分解させる効能のあるオゾンを発生させる機器を使います。

さらに部屋の隅々に至るまで徹底的に清掃するなど、臭いの素を絶つための作業が行われます。
先述した、ご遺体由来の血液や体液が部屋に残る事態もこの死臭の原因となるため、建材の奥に浸透してしまった血液や体液の除去作業も、この消臭の作業のためには必要不可欠となります。

この作業時は、臭いの素となるご遺体由来の体液や血液がそれ以上周囲に広がらないよう、慎重な作業をする必要があり、同時に部屋の養生をしっかり行うことも大切と言えます。
経験が十分な特殊清掃業者ほど、実際の現場ではこういった作業については適切な対応を行うことができるでしょう。

MEMO

消臭作業時は、作業前と作業後をより正確に比べるため、臭いの強さを数値化する計器を用いて測定を行うことも行われます
臭いを機器で計る際は、空気中の刺激の強さを比較する形で測定器を用います。
臭いの感覚は個人差があるため、実際の臭気を数値で測ることは有効な手段と言えます。

neo-SIGMA

また人の嗅覚を用いて、臭いが完全に近いほどなくなったかどうか調査するといった方法もあります。
このような特殊清掃の臭いについての技術は、ゴミ屋敷だった部屋の消臭、ペットの多頭飼育を行っていた部屋の消臭の際などにも使われます。

特殊清掃を請け負う業者は、こういった荒れ果てた部屋や建物の消臭、片付け、原状復帰なども仕事として取り扱っていることが多くあります。
また死臭と同じく人間の本能的に不快な臭いと感じる、火災現場だった場所のその後に残る火災臭の消臭作業なども、特殊清掃業者が請け負う場合が見られます。
特殊清掃業者の多くは、作業に際してこの消臭作業にいちばん労力をかける場合が多いようです。

最後に、ご遺体のあった部屋で行う、もっとも痛ましい作業について説明します。

それは発生した害虫の処理です。
ご遺体を長期間放置しておいた結果、ゴキブリやウジ、ハエなどの害虫が発生してしまうことがあり、するとそういった害虫にご遺体が荒らされるといった大変痛ましい事態が起こります。
ご遺体を別の場所に移して安置したあとも、残った血液や体液に害虫が集まり繁殖し続けてしまうので、特殊清掃の作業ではこれらの害虫についても徹底的な駆除を行います。

MEMO

また、こういった害虫の発生は、近隣の別の住居や建物にも影響を及ぼしてしまうことが多々あるため、しっかりと駆除しないことには、悲しみの中にある遺族にとってはさらなる心労が増す事態となってしまいます。
害虫駆除は特殊清掃の作業のなかでとても重要な事項になり、その際は成虫だけでなく幼虫や卵まで含めた駆除、洗浄が行われます。

Pest Control Exterminator Spraying Retro

こういった様々な作業が含まれるのが特殊清掃の仕事であり、凄惨な現場で作業を行わなければならないことも多いことから、誰もが簡単にできる仕事ではないと言えます。
また、縁起や心霊現象に敏感な人にとっては、とても務めることのできない仕事かもしれません。

実際、あまり心霊現象などを信じていない人がこの仕事の従事者には多いようですが、他の要素として、作業後に服や髪に死臭がしみつくことに関して強い抵抗を持ちながら働いている人もいるようです。
テレビのドキュメンタリー番組の題材になるなど、近年やや有名になった職業でもあるため、この仕事に興味を持つ志望者は少なからずいるようですが、そうして仕事の実際について調べることはあっても、働くまでに至る人はそう多くないといえます。
しかし、生きている以上誰もが死ぬ可能性があり、またどんな形で亡くなるかは自分で選べないことであるため、人の死後の処理の一端を担う特殊清掃は、社会にとってはなくてはならない仕事といえるでしょう。

近頃では、独自の業界団体が設立されたり、特殊清掃関連の業務の能力を証明するための資格なども設けられています。
特殊清掃は、今後もけして不要になることのない仕事といえます。

3.孤独死、孤立死とは

それでは次に、孤立死や孤独死の実際について説明します。
孤立死、孤独死とは、何らかの理由で家族、親族、地域のコミュニティや友人などから離れて一人で暮らしていた方が、そのまま誰にも看取られることなくお一人で亡くなられる事態のことを指します。

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大規模災害の後に建てられた仮設住宅や、地域の繋がりの希薄な大都市の住宅街で起こりやすいとされ、日本では現在年間6万人近くの人がこうして亡くなられている現実があります。
人生の最後を暖かく見送られることなく孤独に終えることは、とても寂しいことであり、悲しく痛ましい出来事でしょう。
孤独死や孤立死の多くの原因は病気や家の中での事故ですが、事件に巻き込まれたり自殺をはかった結果そうした事態となることもあります。
どちらもとても悲しい事態であることに変わりありません。

孤独死、孤立死のもう一つ悲しい点は、多くの場合亡くなられてから発見されるまでに時間がかかるため、ご遺体が腐乱した状態など凄惨な姿となってしまうことが多いことです。
特殊清掃の項目で述べたように、ご遺体の周りに害虫が発生してしまうことなど、発見した人や周囲の人々が心に傷を負うような事態も起こりかねません。

離れて暮らしている親族としばらく疎遠になってしまうことは誰にでもあることですが、ご本人がお一人でそのまま亡くなられてしまい、長期間経ってから、腐乱した形のご遺体と対面することになってしまった方の心の痛みはどれほどのものでしょうか。
こういった事態を防ぐためにと、病気や体が不自由などのリスクを抱えた一人暮らしの人に向けて、家族や親族からの連絡だけでなく、周囲の人からの見守りや民生委員による声かけなどを行っている地域もありますが、まだまだ十分な手立てがされているとは言い難い状況です。

MEMO

現在日本では高齢化が進んでおり、その前段階としての核家族化も進行していたことから、こうした孤独死や孤立死のリスクを抱えた一人暮らしの方の人口は今後も増えていくことが予想されます。
そのため、孤独死や孤立死については、多くの人が問題だと認識しているものの、今後もすぐになくなることはない事象といえるでしょう。

4.「特殊清掃の実態を知って!~年間孤立死6万人の最後をになうプロ中のプロたち!!」まとめ

  1. 特殊清掃とは、ご遺体由来の影響の清掃を中心とした、通常の清掃やハウスクリーニングではカバーしきれない分野の作業を指します。多くの特殊清掃業者は、動物の多頭飼育後の部屋、ゴミ屋敷と呼ばれる建物の清掃や片付けなども取り扱っています
  2. 孤独死、孤立死とは、一人暮らしで周囲に看取られることなくお一人で亡くなられる事態のことを指します
  3. 日本では年間6万人の孤独死・孤立死が起こっているといわれ、社会問題の一つとなっています。