特殊清掃業務ではどんな種類の除菌・消臭剤が使われているのでしょうか?またそれぞれの除菌・消臭剤にはどんな特性があると思いますか?この記事では特殊清掃業者が一般的に活用している除菌・消臭剤の特性を比較していきます。
安定型次亜塩素酸ナトリウム
新型コロナウイルスが出回った頃から「安定型次亜塩素酸ナトリウム」の注目が高まっています。安定型次亜塩素酸ナトリウムは、次亜塩素酸ナトリウムに添加剤を加えてpHを弱アルカリ性に維持し、有効成分を安定化させたものです。強力な除菌・消臭効果があり、アルコールでは効果のないウイルスや菌にも効果を発揮します。従来の次亜塩素酸ナトリウムやアルコール系除菌剤と何が違い、それぞれは、どんなデメリット、どんなメリットがあるのか?比較検討していきます。
アルコール系や従来の次亜塩素酸ナトリウムとの違い
特徴 | 次亜塩素酸ナトリウム | 安定型次亜塩素酸ナトリウム | アルコール系 |
---|---|---|---|
濃度 | 200ppm | 200ppm | 70〰80% |
安全性 | ◎ | ◎ | 〇 |
非金属腐食性 | × | 〇 | ◎ |
防臭力 | ◎ | ◎ | × |
非漂白性 | × | 〇 | ◎ |
消臭力 | 〇 | 〇 | × |
保存性 | × | ◎ | 〇 |
除菌速度 | ◎ | ◎ | ◎ |
除菌力 | ◎ | ◎ | 〇 |
その他 | 強アルカリ性 | 弱アルカリ性 | —– |

従来の除菌成分、次亜塩素酸ナトリウムやアルコールなどの除菌剤の問題点を克服するために、研究開発された成分が安定型次亜塩素酸ナトリウムです。
従来の次亜塩素酸ナトリウムは弱点が多い
次亜塩素酸ナトリウムは強力な作用をもつ半面、有毒ガスが発生する為、使用の際にはゴム手袋の着用や換気にも注意する必要があり、下記のように使用する際にはデメリット多いのが特徴です。
- 金属を錆びてしまう
- 服飾品は漂白してしまう
- 塩素の刺激臭が強い
- 揮発性が高く、濃度の保証ができないため、24時間以上経過した場合は、廃棄してもう一度作り直すことが推奨されている
次亜塩素酸ナトリウムという物質は科学的に不安定な物質で、有機物との接触がなくても酸素原子を放出して分解してしまう特性があります。そのため、製造後1~3ヶ月ほど経過すると有効塩素濃度が半減してしまい、除菌や消臭の効果効能が無くなっていくデメリットもあります。
長期間の保存・使用が可能な安定型次亜塩素酸ナトリウム
安定型次亜塩素酸ナトリウムは低濃度(200ppm)の場合、厚生労働省から食品添加物として認定されています。作用を発揮したあとに残るのは、水と酸素とごく微量の塩化ナトリウム(塩)であるため、環境にも優しい成分です。
さらに次亜塩素酸ナトリウムは、製造から3か月を目安に使い切らなければ除菌効果が激減してしまうのに対し、安定型次亜塩素酸ナトリウムは有効塩素濃度の半減期が、約2年も除菌効果を維持できるので、長期間の保存・使用が可能になります。
有効塩素濃度の半減期について
- 従来の次亜塩素酸ナトリウム:40~90日
- 安定型次亜塩素酸ナトリウム:2年間はほぼ変わらず、以降は緩やかに下がっていきます。
複合型二酸化塩素
従来の「安定化二酸化塩素」は賞味期間が短く3か月を目安に使い切らなければ消臭効果が激減してしまうに対し、この複合型二酸化塩素は有効塩素濃度の半減期が、約1〰2年も消臭効果を維持できるので、長期間の保存・使用が可能となります。また「安定化二酸化塩素」は消臭効果だけで除菌効果はほとんどありませんが、この複合型二酸化塩素は、除菌効果もある優れものです。アルカリ性でも酸性でもない中性の除菌・消臭剤です。

内容物 | 二酸化塩素溶存液 |
---|---|
混合内容 | 二酸化塩素 純水(精製水) |
濃度 | 1,000ppm |
PH | 6.8~7.5(+-0.5)(中性) |
生産国 | 日本 |
MA-T PRO 10000
通常はほぼ水の状態ですが、菌やウイルスなどが対象に存在すると、主成分が反応して、菌の除去に必要な分量だけ有効成分の水性ラジカルを発生させ、菌やウイルスに働きかけ不活性化や分解を行います。 気になる臭いの元になる菌などの原因物質に働きかけるので、高い消臭効果も期待できます。

成分 | 要時生成型亜塩素酸イオン水溶液 |
---|---|
使用期限 | 未開封で30度以下に保存なら3年間 |
注意点 | 希釈用のため通常は1,000ppm以下で使用する |
濃度 | 10,000ppm |
生産国 | 日本 |
参考:ナチュラルフリー株式会社
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