ユニットバス交換無しでOK、一部の特殊清掃業者だけできる対処法 

ユニットバス

 我々同業者の間ではユニットバスの特殊清掃現場は難易度が高いと言われております。その理由は汚染状況を見て「洗浄による原状回復は見込めない」とか「ユニットバスに使われているプラスチックやFRPの素材は、臭いを吸い込みやすくシミになりやすいのでユニットバスは解体して新品へ交換しなければならない」と考える特殊清掃業者も多いようです。
ヒートショック等で孤独死が発生した際に、もしユニットバスを新品交換するとしたなら予算は70∼150万円くらいとなり、この予算を支払う相続人または家主様等は大きな痛手となるでしょう。そのため、技術力ある特殊清掃業者なら清掃テクニックを駆使して事故前の状況まで復活させます。この記事では、一部の技術力ある特殊清掃業者が行っているユニットバスでの特殊清掃の対処方法をお伝えいたします。因みにほんの僅かな特殊清掃業者だけができる清掃テニックになります。業者選びの参考にしていただけたら幸いです。

目次

ユニットバスを見た際、最初に作業工程を判断する

もちろん汚染個所や皮脂汚れはアリカリ洗浄を行い、浴室なので石鹸カスやシャンプー汚れ、水垢もあり、当然ながら酸性洗浄も行います。この現場は、カビが無いようなので今回、カビ取り洗浄は必要なしと判断します。

ユニットバスの特殊清掃を行うべき作業工程とは

一般的にはユニットバスの特殊清掃では下記表のような作業工程を必要とします。

換気扇分解洗浄天井に付いている換気扇を外して臭いを取り除く洗浄します。
トイレ便器脱着便器の下側フランジまで蛆が入り込んだり、汚染されていることが多く便器の脱着を必要とします。
配管洗浄配管まで体液等が流れた場合、必ず配管洗浄が必要となります。
高圧洗浄エプロン内部等、手が届かない箇所は高圧洗浄を必要となります。
(脂分)色素沈着のシミ抜きユニットバスは遺体の発見が遅い場合、色素沈着しやすく、また臭いも付着しやすいことから、色素沈着と臭いの双方を取り除く必要があります。
アリカリ洗浄ユニットバスの汚物や皮脂汚れはアルカリ洗剤で洗浄します。
酸性洗浄(マグネシウム系)ユニットバスの白くこびり付いた石鹸カスはマグネシウム系酸性洗剤で洗浄します。
酸性洗浄(カルシウム系)ユニットバスの蛇口回りの水垢はカルシウム系酸性洗剤で洗浄します。
カビ取り洗浄ユニットバスにカビが発生していた場合は、カビ取り洗浄を行います。

天井に付いている換気扇の分解洗浄

ユニットバスの換気扇は、メーカーや型番によって外し方の難易度が違います。簡単にできる場合と時間がかかる場合があります。今回の現場の換気扇の分解洗浄は難易度が低く、通常10~15分程度にて作業完了できます。この換気扇の分解洗浄を省略する特殊清掃業者も存在していると聞いておりますが、手間を惜しまず作業するから最終的にきちんと消臭できる訳です。

換気扇
清掃前
換気扇
清掃後

汚染個所は定番のアリカリ洗浄

トイレ便器の脱着は大半が必要

便器の前にも体液があることから、便器の下側のフランジも汚染されている可能性が高いです。そのため、この現場では便器の脱着は必要です。私の経験談から言うと、ユニットバスの特殊清掃は大半が便器の脱着を必要とします。最初はトイレのタンクを取り外します。そして便器を取り外します。

トイレ
タンク取り外し
トイレ
便器取り外し

フランジは念入りに清掃する

毎回ユニットバスの特殊清掃の際に思うことですが、フランジは非常に汚れています。ここは念入りに清掃して臭いを取り除く必要性が高い箇所です。

高圧洗浄や配管洗浄も大半が必要

今回の現場に限らずユニットバスの特殊清掃は、ほとんどが高圧洗浄や配管洗浄も必要となります。高圧洗浄は手が届かない場所、例えばエプロン内部などを洗浄します。排水口まで体液等が流れた場合は当然、配管洗浄も必要となります。

高圧洗浄
高圧洗浄
配管洗浄
配管洗浄

臭いもシミも取り除く清掃テクニック

ユニットバスは発見が遅いと、素材そのものへ臭いが吸い込まれ、更にシミが発生しております。この「臭い」と「シミ抜き」をどう対応して問題解決するのか? 特殊清掃業者の清掃テクニックが問われる場面でしょう。

テッシュパーパーを臭いがする箇所、またはシミが発生している箇所に置き、特殊清掃の先進国アメリカの企業秘密の薬剤を漬け置きすることで、「臭い除去」と「シミ抜き」を同時に行います。その漬け置き作業は一晩放棄する必要があるから、ユニットバスの特殊清掃は1日では作業が終わらない訳です。この作業をすることで、臭いも色素沈着も落ちてユニットバス交換が必要ない状態にできます。

因みにこの薬剤はライセンス所持者しか扱いできません

トイレ便器のパテは新品を用意

当然のことですが、フランジのパテは新品を用意します。モノタロウにて税込み615円とリーズナブルです。

新品パテ
新品パテ
新品パテ取付け
新品パテ取付け

トイレ便器を再設置する

最初に便器を設置して、次にタンクの取り付けを行います。

ここまで作業すると、もう臭いはほとんどしません。最後にダメ押しで除菌消臭器を設置して作業終了となります。

ユニットバスの特殊清掃で見積の際に確認するべきこと

作業依頼する際は特殊清掃業者に現場へ来ていただき、見積もりされて見積書を提示されると思います。その際に是非確認するべきことは、作業品目の記載あり、それぞれがこの価格帯なら相場価格の特殊清掃業者と判断して良いと思います。

作業品目相場価格(税別)
換気扇の分解洗浄1万∼1万5千円
トイレ便器脱着1万∼3万円
配管洗浄1万∼3万5千円
高圧洗浄1万∼2万円
(脂分)色素沈着のシミ抜き4万∼12万円(2日または3日程度、漬け込む)
アリカリ洗浄3万∼7万円
酸性洗浄(マグネシウム系)
酸性洗浄(カルシウム系)
カビ取り洗浄2万∼10万円
小計13万∼39万円

その他、ユニットバスの清掃以外で必要な作業工程とは

ユニットバスの清掃以外では、除菌作業や消臭作業も必要となります。オゾン発生器またはヒドロキシル発生器の稼働平均して3日間行うことが多いと思います。

作業品目相場価格(税別)
除菌消毒作業1万∼3万円
オゾン発生器またはヒドロキシル発生器の稼働3万円(1日の料金)×平均3日
小計10万∼12万円
特殊清掃
除菌消毒作業
ヒドロキシル発生器
ヒドロ工法

※通常、特殊清掃の作業は人件費をいただきません。

ユニットバスの特殊清掃で行う作業工程の合計金額相場は23万∼51万円

ユニットバス交換無しで、ユニットバスの清掃から除菌消毒、オゾン発生器またはヒドロキシル発生器の稼働まで含めた作業金額は…23万∼51万円(税別)

もしユニットバスの特殊清掃で、ご自分の見積金額が安いと感じた場合、見積書の作業工程を良く見ましょう安い料金の場合、作業工程が少ないことが多いです。この点での問題は少ない作業工程で、果たして完全消臭できるのか? 特殊清掃員やその施工会社の経験値が問われる判断になります。この場合、口約束だけでは絶対に信用せずに必ず、その会社のウェブサイトの作業事例を見て確かな作業を行っているのか証拠を確認しましょう。

まとめ|ウェブサイトの施工事例は実力を見分ける証拠

技術力ある特殊清掃業者の選び方は一般ユーザーだと本当に難しいと思います。また家主様や不動産管理会社でも良い特殊清掃業者と巡り合うことは難しいでしょう。現在、同業他社のやり直し作業が非常に増えており、特殊清掃業者はアタリの業者とハズレの業者の二極化しています。そのため、ウェブサイトの作業事例や作業実績の記事の施工方法を見て技術力高い特殊清掃業者を探してください。もしウェブサイトにそんな記事が見当たらない特殊清掃業者なら実力は無いと判断してください。

もしあなたがユニットバスでの特殊清掃をプロへ作業しなければならない立場なら、この記事のように施工実績の証拠を最重要視して業者選びしてほしいと思います。
施工実績の証拠が無い口だけの「できる」と言う言葉は絶対に信じてはいけません。
なぜならその言葉を信じたばかりに、失敗する特殊清掃業者に当たったご依頼者さまが非常に多いからです。

before
before
ユニットバス
after
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

2008年より遺品整理・特殊清掃の業務に関わって今日までたくさんのノウハウを蓄積出来ました。2023年には清掃業界の先進国であるアメリカへ渡り、RSAで研修を受け【TCST】Trauma and Crime Scene Technician (特殊清掃)や【FSRT】Fire and Smoke Damage Restoration Technician (火災復旧)に関する『 IICRC 』の国際資格を取得しております。

目次