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【年間200件の事例】から学ぶ「孤独死対処方法」

不動産売買における告知義務と孤独死部屋

不動産

不動産売買における告知義務について疑問に思っていらっしゃいますか?
所有している賃貸物件で孤独死の事態がおき、その後の買い手を見つける際にどのような告知の義務や、必要な条項があるかとお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、不動産売買の際、必要となる告知の内容、また孤独死のあった部屋をその後売りに出す際にどのような点に注意したらよいかについて述べていきます。

1.不動産売買の際の告知義務

まず、不動産売買には、買い手、売り手、不動産業者の3者が関わります。
実際の売買作業では、それぞれに契約条件や必要事項を連絡しあって不動産売買を執り行っていきます。
不動産売買をするときの流れを、売り手側から説明します。

契約

売却をすることを決めた後、最初に行うのは仲介を行う不動産業者への物件の査定依頼です。
査定額について納得したら、不動産業者と売り手の間で媒介契約を結びます。

その後、不動産を売り出し、買い手となる購入希望者が見つかれば交渉に入ります。
価格等について折り合いがつけばすぐ契約を結びたいところですが、その前に重要な事項があります。

それは物件情報の開示です。

MEMO
仲介を行う不動産業者に、物件についての情報を売り手が包み隠さず伝え、それを重要事項説明として不動産業者から買い手に伝えます。

宅地建物取引業法の規定にて、不動産売買の際、不動産業者から買い手に対して物件や契約条件についての重要事項の説明をすることは義務となっており、宅地建物取引士が書面を交付したうえで口頭で行う決まりになっています。

契約後のトラブルを防ぐのがこの重要事項説明の目的となります。
重要事項説明のなかに含まれる情報としては以下のものがあります。

  1. 登記記録(登記簿)の記載
    (登記簿に記載されている事項についてそのまま伝える形です。)
  2. 法令に基づく制限の概要
    (建ぺい率の制限、工業地域や商業地域、住宅地域などの区分についての情報です。)
  3. 敷地と道路の関係、私道の負担に関する事項
  4. 一棟の建物またはその敷地の管理・使用に関する事項(マンションの場合)
  5. 売買代金以外に授受される金銭に関する事項
  6. 契約の解除に関する事項(契約の解除については、手付解除や危険負担による解除、特約による解除などがあります。)
  7. 損害賠償額の予定や違約金に関する事項
  8. 手付金などの保全措置の概要
  9. 支払い金または預かり金の保全措置の概要

シロアリ

さらに、不動産業者を介した不動産売買の際には、所有する物件の付帯設備や物件の状況について説明する告知書というものを売り手から不動産業者に提出し、その情報を買い手側に渡します。
この告知書には、住宅の付帯設備や瑕疵についての情報が含まれます。
具体的には過去の住人についての情報、近所との関係、騒音の有無、シロアリなどの物理的瑕疵、物件での人の死亡にかかわる心理的瑕疵についてなどです。

売りに出そうとしている部屋や建物で孤独死があった場合などは、この告知書と呼ばれる書類の中で、心理的瑕疵事項として売り手側から買い手側に情報がいくことになります。
物件についての情報を十分伝え、そして売買条件について同意したのち、売買契約が結ばれます。

その後、実際の物件の引き渡し、売買代金の受け渡し、また登記申請等が行われて、不動産売買が完了します。

注意
孤独死のあった部屋や建物を売却したい、といった際、一番に問題になるのがこの心理的瑕疵事項の部分です。
できれば隠して売ってしまいたいという心理が売り手側に働くこともあるでしょう。

しかし、売り手側が必要な情報をあえて隠したまま不動産売買を行うことは、のちに売買契約そのものが解除されるケースもあることを考えると望ましいことではありません。
基本的に、知っていたが不利になると考えて隠しておく、というのは一番悪い手になります。

一方、孤独死の事実の告知についてはグレーゾーンの部分もあり、死因や死後発見されるまでの日数などでも判断が分かれるところではあります。
いわゆる孤独死の事例の中でも、心理的瑕疵の対象と判断されやすいのは、事件・事故や自殺など、その死の死因に事件性がある場合です。

注意
心中や殺人事件、事故、様々な理由での自殺などは、近所にも評判が伝わってしまうこと、また昨今ではインターネット上のデーターベースサイト「大島てる」(事故物件サイト)などでも公表されているため、買い手側でも容易に調べられます。

基本的に隠すことは不可能といえるでしょう。

MEMO
事件性のない自然死(病死)などの場合でも、孤独死の状態で長期間発見されず腐乱した状態や部屋が荒れ果てた状態で発見された場合などは、やはり近隣に評判も伝わりますし、なんとなく縁起が悪いなどの心情もおこるため、心理的瑕疵と認められる場合が多くあります。

一方、事件性のない自然死(病死)で、かつ看取る人がいた、または死後すぐに発見されたなどの場合は告知する必要がないと考えられる場合もあります。
この場合でも、買い手側の考え方、価値観によっては結果的に物件の売買が中止される場合もあるため、無論ケースバイケースではあります。

法律では瑕疵に当たる事項については定めがあるものの、具体的な死の状況や原因は様々で、細かい状況すべてについて言及されているわけではないため、結果的にグレーゾーンが発生しているのは事実のようです。
それでも、不動産売買にあたって、物件についてのことで伝えるべきか疑問に思うような事態があれば、まず伝えておくのが売買後のトラブルを防ぐためにも無難でしょう。

2.孤独死のあった部屋であることを隠して売却した場合

それではもし、孤独死の事態のあった物件を、その事実を隠して売却した場合はどうなるのでしょうか。
孤独死の事態のあった部屋、物件は、不動産取引の上では心理的瑕疵のある物件として扱われます。

注意
たとえ完全にリフォームして、部屋の見た目が全く原状復帰されていても、この心理的瑕疵物件としての事実は変わりません。
心理的瑕疵とは、その名前の通り、物理的、外見的に問題なくとも、その物件に住む人、扱う人の気分に影響する事実があるという点について瑕疵と考えられているからです。
こういった瑕疵のうち、不動産売買の際に買い手が知りえなかったものを隠れた瑕疵と言います。

カギ

売買契約が無事済み、物件の引き渡しも終わったのちに買い手が隠れた瑕疵に気づいた場合に備えて、不動産売買契約では瑕疵担保責任という考え方が導入されています。
瑕疵担保責任とは、隠れた瑕疵が発覚した場合、売り手側が修繕の費用を負担したり、契約の解除に応じたりするための、売り手側の責任です。
通常、この瑕疵担保責任が発生する期間については、売買契約時を起点として、契約の中で1年や2年などの形で定められています。
契約の中に瑕疵担保責任の期間が定められていない場合、民法に順ずる形になりますが、民法ではこの期間の定めがないため、たいていの場合は売買契約の中で取り決められています。

また、隠れた瑕疵に買い手が気づいてから1年以内であれば、瑕疵担保責任の下、売り手側に費用請求したり、契約の解除を求めたりできます。
この瑕疵担保責任の下、売買契約の手続きを終えてから、孤独死があったなどの事実といった心理的瑕疵を買い手側が知った場合、買い手側から契約の解除を申し立てる可能性があります。
孤独死の事態では、状況にもよりますが、害虫の発生や臭いなどにより近隣住民にもその事態が知れていることが意外に多くありえます。
そのため、建物や部屋を購入し、いざ引っ越しを済ませた後に、近隣住民からの噂等で前居住者の孤独死の事実を知る事態もあるでしょう。
不動産物件の賃貸契約の場合、孤独死や事件事故などがあっても、その後にほかの住民が入居したり、事件事故から2年から7年程度たてば、次の住人にその事実を伝えなくとも問題ないといった場合もあります。

しかし、不動産物件の売買においての心理的瑕疵については、以前殺人事件があってから50年後の売買契約についても、瑕疵担保責任が問われ契約の解除となった例があります。

また事件のあった建物そのものが取り壊されていて、土地のみの売買契約の場合でも、同様に瑕疵担保責任が問われた例があります。
賃貸契約よりも売買契約の方が、心理的瑕疵をはじめとする瑕疵についての責任は重くなる傾向があるようです。
多くの不動産売買契約は、賃貸契約よりもはるかに高額の買い物となることが多いため、より慎重な判断をする人が多いからかもしれません。

こういった点からも、孤独死などの心理的瑕疵のある物件の売買は難しくなる傾向にあります。
反面、買い手側が、心理的瑕疵の部分でを加味した価格として不動産価格が安くなるといったことを期待して取引を行う場合もあるため、孤独死があったから100%その後の売買ができないと思い込んでしまうのも早計です。
インターネット上では、買い手が医師や医療関係者、警察関係者などの場合、比較的平時から人の死や凄惨な現場に慣れている傾向があるため、心理的瑕疵を気に留めない場合があるとの情報も見受けられます。
また、もともとの物件としての人気度や、価格の面で心理的瑕疵を上回る有利な点があれば、売買契約を結ぶことは可能でしょう。

3.「不動産売買における告知義務と孤独死部屋」まとめ

  1. 不動産売買においては、告知書の形式で、物件の状態や瑕疵などについての事項が売り手側から買い手側に伝達されます。
  2. 過去に売買対象の物件で孤独死の事態があった場合は、仲介不動産業者に正しく伝えておくことが、売買後のトラブルを防ぐために必要です。
  3. 心理的瑕疵のある物件について、その事実を隠して売買することは、契約が成立したあとに瑕疵担保責任を問われて契約解除となる場合もあるためおすすめできません。