【年間200件の事例】から学ぶ「孤独死対処方法」

【孤独死】相続人・連帯保証人になっている場合の自分の身の守り方

親類や身内、知り合いの中で、孤独死の危険がある人はいませんか?
近年、孤独死は社会問題ともなっていて、年間3万人にものぼる人がその事態に陥っていると言われます。
親族関係にある人のうち、高齢の人など、誰しも自分の身辺に一人や二人はそういった人が思い浮かぶと思います。
また、相続人、連帯保証人になっている関係の人のなかで、高齢の人、一人暮らしが長いような人など、孤独死の危険がある人もいるでしょう。
孤独死は、その死の痛ましさもさることながら、周囲に与える影響、住居をご遺体の影響から回復させるための費用など、さまざまなマイナス面があります。
そういった場合、相続人、連帯保証人の立場から、被相続人、契約者本人の孤独死によるトラブル、金銭的な問題の発生を未然に防ぎたいといった気持ちは当然出てくることでしょう。
孤独死の事態を防ぐために、また孤独死にまつわるトラブルを防ぐために事前にできること、またもしご本人が亡くなられた際、注意したいことを紹介します。
また、日本の近年の高齢者向けサービス、各種保険商品についても説明します。

1.高齢者向けの小額死亡保険への加入を勧める

これまでの日本にある個人が私的にかける保険、特に生命保険の多くは、60歳から70歳ごろを満期としているものが多く、その後保険の保障がなくなってしまうことがありました。
多くの生命保険は60歳を満期として給付金が支払われ、完了するといった形のものであり、一生涯の保障を謳う生命保険はあまり多くありませんでした。
満期の給付金についても、多くは退職後の生活費や、まとまったお金として入ることから大きな買い物に使われるなどのことが多くありました。
そのため、本人のその後の急な病気や、死亡にともなう出費に備えることができず、結果的に相続人や親族の負担が大きくなってしまうケースが多くみられていました。
そこで近年、損害保険として、60歳以上や、持病、既往症があっても入りやすい形の、いわば葬式代に備える保険といった保険商品が多く販売されています。
持病や既往症に対して審査がないこと、また相対的に近くに亡くなる可能性の高い高齢者を主なターゲットとしていることから、保険料はやや高めの設定ですが、それでもかなり人気が出ているといいます。
テレビCMなどでも盛んに宣伝されているため、多くの人に生命保険満期後の新たな備えとして注目されています。
死後の備えのために入る保険というのも一見奇妙かも知れませんが、遺族や相続人の負担を軽くするためとしてこうした保険に入る高齢者も最近みられます。
高齢者本人が保険にはいることで、相続人や遺族にかかる負担が軽減されるという考えは、若い人にも歓迎されるでしょう。

人の死、特に孤独死の場合にはその後処理のため、多額の費用がかかってしまうことが多いです。
特に孤独死の場合、死後しばらく発見されないことがあり、その場合はご遺体の見つかった部屋の特殊清掃の必要があります。
特殊清掃とは、通常の清掃やハウスクリーニングとは異なり、ご遺体が長期間そのままになっていた状態の部屋の原状復帰を主としています。
特殊清掃業者は、血液や体液の処理、死臭と呼ばれるご遺体由来の強烈な臭いの脱臭作業に特に手腕を発揮しますが、その分、通常の清掃やハウスクリーニングよりもかかる費用が高価になることが多いです。
他にも、害虫の駆除や壁紙や床をはがしてのリフォームが特殊清掃の作業として必要となる事態も多く、費用は数万円から数十万円に上ることも良くあります。

ご遺体のあった部屋にこうした特殊清掃が必要な事態が発生してしまうと、故人を見送るための葬儀や告別式の費用のほかにも、相続人や親族の負担が増えてしまうことになります。

相続人や連帯保証人である親族に、死後までいろいろな迷惑をかけたくないといった意識の高齢者は多くいるでしょう。
とくに高齢者の中には、周囲に世話になることを恥と捉え、葬式代は準備しておきたい、といった意識を持つ人が根強くいます。
多くの保険は掛け捨てではあるものの、負担の少ない額から始められるプランもあります。
またこういった形の保険商品自体が、各社の競争もありより良い形へと進化しています。
高齢者のニーズにあった形で、こうした保険を利用してもらうのも、生前の備えとしてできることの一つかと思われます。

2.普段から頻繁に連絡を取っておく、見守りサービスを利用する

孤独死とは、家族や親族と縁遠い人、地域であまり目立った繋がりの無い人が、誰にも看取られずお一人で亡くなってしまう事態のことです。
一人暮らしの高齢者や、あまり出かけることの無い人、足腰や身体に持病や障害を抱えて暮らしているひとは、こうした亡くなり方のリスクが高いといえます。
孤独死は、本人の生活スタイルそのものや暮らし方にもその要因がありますが、一番は周囲や親族、家族と疎遠になっていることが発生の理由といえます。
そのため、年配の一人暮らしの人などとは、孤独死の事態を防ぐため、特に密に連絡をとることがよいかと思われます。
また急な体調変化や生活の変調などを、親族や周囲の人がすぐに察知できるような良好な関係を保つことが大切です。
こうして、まずは孤独死の事態を防ぐことが、一番の対策になるのではないでしょうか。
頻繁に連絡を取ることで、体調や経済的な問題など、状況が悪化する前にこちらが知ることができるかと思われます。

MEMO

また、高齢者向けの配食サービスや、訪問販売などのサービスを行っている業者の中には、毎日顔を見て配達を行う際を利用して、毎日の安否確認となる見守りサービス、もしくは週に2回の電話連絡による見守りサービスを行っているところがあります。

近年は高齢者の人口増加に伴い、そういった見守りサービス、緊急時の駆け付けサービスなども増加しています。
またさまざまな業種から、高齢者向けの新たなサービスが開発されています。
相手が遠方の場合や、そうでなくとも頻繁な連絡が双方の負担になる場合など、こういったサービスを積極的に利用するのも良いかもしれません。

3.もし亡くなったとの報を受けても、あわてて財産を処分しない

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ここまでは生前にできることを説明してきましたが、ここからは仮に相続人にとって被相続人の関係にある人が急に亡くなった際の注意、また相続について説明します。
具体的には相続のおきる事態、遺言状の取り扱いについての注意が主になります。

まず、どんな状況で亡くなられたとしても、良く考えることなく故人の財産を処分したり、使ったりすることは絶対に避けるべきです。
なぜかというと、相続とは財産全体のプラスもマイナスも引き継ぐものであり、かつ一部を処分した際には全体への相続が成立してしまうといった決まりになっているからです。
逆に、マイナスの大きな財産、つまり借金があったとしても、相続の手続きの前にそれを放棄することは可能です。
しかしそのためには、被相続人の財産がすべて死亡時のままになっていることが必要です。

例えば、故人の預金通帳の一部や、手元にあった現金を見て、深く考えずに使ってしまったが、後になって本人の借金が発覚する等のケースがあります。
故人の持っていた多少の現金を使ってしまったこと、また宝石類などの金品を換金したことをきっかけに、多額の借金を背負うことになってしまった、といった場合も現実に起こりえますので、注意が必要です。

注意

また、故人の遺された品や、身の回りを整頓していて、遺言状を発見したとしても、その場で開封してはいけません。

相続人、遺族としては中身がとても気になるところですが、所定の手続きを経て家庭裁判所の下で開封しないと、どんなことが書いてあっても効力が無効になってしまうおそれがあります。
遺言状をすぐにその場で開封して、相続人の自分たちにとって有利なことが書いてあることがわかったとしても、効力が無効になってしまっては元も子もないでしょう。
こうした相続にまつわる手続きや、遺言状の開封の仕方などは、誰にとっても突然なことが多いため、なかなかスムーズに事が運ばないことが多いです。
そういった時のための相談役として、司法書士や弁護士など、相続手続きのエキスパートがいます。

事前にできる備えとしては、生前から本人を交えて相続について話す機会を持ったり、こうした専門家に相談することで、無用なトラブルを避けることができます。
特にプラスの財産の相続については、親族間でトラブルや係争が起きてしまうことが残念ながら多くあります。
故人を悼み、見送る気持ちはひとつでありながら、親族同士がいがみ合ってしまう事態はとても悲しいことですし、故人も望まないことでしょう。
葬式や告別式の席で、故人の財産の分与、相続について親族同士が言い争いになってしまうなどの事態はできれば防ぎたいものです。
そういった事態を防ぐためにも、財産にかかわること、また相続にかかわることには慎重にあたるのが良いでしょう。

MEMO

そのために、司法書士、弁護士などの専門家を、時に中立、あるいは別の立場で手助けしてくれる存在として、有効に活用することができます。
相続に関しては、詳しく説明するとこのスペースでは説明しきれないほどの複雑な内容になりますが、先に述べた以下の二項目がもっとも大事です。
一つ目は故人の財産を精査することなく使ったり処分したりしないこと、二つ目に遺言状を発見してもその場で開封しないことです。

4.「【孤独死】相続人・連帯保証人になっている場合の自分の身の守り方」まとめ

  • 孤独死の危険のある高齢の親族がいたら、高齢者向けの小額死亡保険への加入を勧めることがよいでしょう。
  • 孤独死をまず防ぐために、普段から頻繁に連絡を取っておく、見守りサービスを利用することもひとつの手です。
  • もし本人が亡くなったとの報を受けても、あわてて財産を処分しないようにしましょう。
    また、遺言状を見つけてもその場で開封しないようにすることが大切です。